腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)は、加齢により背骨の中の神経の通り道である脊柱管(せきちゅうかん)が狭窄することで神経や血管が圧迫され、血流障害が発生し、下肢痛やしびれを引き起こす病気です。
間欠跛行(かんけつはこう)といって、下肢がしびれたり痛くなって長い距離が歩けなくなり、前かがみで休むとまた歩けるようになるという症状が特徴です。これは、血管性の病気である閉塞性動脈硬化症とよく似ているため、下肢痛を訴える患者さんには、触診や血圧脈波検査装置で腕と足の血圧の比較をして下肢の血管に異常がないか調べるABI検査を行って、見落とさないよう気をつけています。閉塞性動脈硬化症は、発見が遅れれば足に壊死などを起こして危険な状態にも陥りかねないからです。
腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)は、保存治療が中心となります。消炎鎮痛剤やビタミンB1、血流改善に有効なプロスタグランジンE1(PGE1)製剤などの服用から始めます。
時間に余裕があれば理学療法も平行して行うこともあります。しかし、それでも痛みが引かなければ、神経ブロック注射、それでも症状が良くならなければ、悪化して排尿排便障害を起こす前に手術も視野に入れなければならないでしょう。私の経験では手術に至るケースは1割程度。大概は投薬で痛みがコントロールできれば、上手に付き合っていけるというのが腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)です。